大判例

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東京地方裁判所 昭和44年(ワ)10573号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕本件事故により原告が「むち打症」にかかり事故当日から関川病院で治療を受けたことは当事者間に争いがない。

本件事故と昭和四四年二月二六日以降の治療との間の因果関係につき検討する。

<証拠・略>を総合すれば次の事実を認めることができる。

事故当日たる昭和四三年一二月九日、原告は直ちに関川病院で診療を受けたけれども、原告と同乗していた訴外金文一との私生活上のことから、右訴外人の家族に事故の姿を見せたくないとの思慮にもとづき、入院せず、そのまま帰宅した。そして「むち打症」と診断され同年同月二七日まで(内実日数一四日)通院した。

同年同月二八日、頭痛・吐気等のため入院した。むち打症の治療を受けているうちに約一カ月経つた頃から徐々に好転していた。

しかし昭和四四年二月一九日頃胃潰瘍であると診断され、これに対する治療も行われていた。

これがため、同年二月二六日以降は国民健康保険で賄うこととなつた。病名は胃潰瘍、習慣性便秘、肝臓障害、急性膀胱炎、梅毒、神経性胃炎(胃切除後)となつた。従つて、むち打症と異る治療のため、診療録も別途に作成され、むち打症の分と二本立てとなつた。

同年三月四日、胃潰瘍の手術が施された。経過良好で快復していた。

同年四月二六日から同年五月九日まで医師の許可を受けて外泊し、帰院してから再び入院治療を受けていたが同年同月二八日から医師の許可を受けて外泊をはじめ、そのまま同月三一日付で退院手続がとられた。

同年六月から同年一〇月まで(内実日数一四日)通院した。

主治医の野原医師は、本件事故と原告の胃潰瘍との困果関係がないとも断定できないが、あるとも断定できないという態度であつた。

従つて診断書についても、任意保険金請求に必要な書類として発付された昭和四四年七月二三日付の診療費明細表と同年八月二八日付の診断書には「鞭打ち症候群」だけの病名が明記されてある。

以上の認定事実によれば、むち打症以外の病気(殊に胃潰瘍)と本件事故と因果関係が全くないとも断定できず、さりとて全面的にあると決める証拠もないけれども、或る程度の寄与があつたものとみても、あながち不自然ではないとも推測できる。従つて昭和四四年二月二六日以降の損害については、その三分の一程度を賠償せしめれば足りると解するのを相当とする。(竜前三郎)

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